新しい電子ドープ型銅酸化物高温超伝導体の合成に成 (H16. 11.15)

層状ペロブスカイト型銅酸化物Sr2CuO2Br2に対して、電気化学法を用いて、Li(リチウム)をインターカレーション(挿入)することにより、超伝導転移温度Tc8Kの新超伝導体LixSr2CuO2Br2の合成に成功しました。この成果が、Japanese Journal of Applied Physics vol.43 (2004) No.11B1115日号)L1480-1481ページにて掲載されました。

これまでに発見されている数十種類にのぼる銅酸化物高温超伝導体の多くはホール注入型であり、電子注入型は2種類のみでした。また、高い超伝導転移温度を有するホール注入型超伝導体と比較的低い超伝導転移温度を有する電子注入型超伝導体を比較する上で、結晶構造が異なるという問題点が存在してきました。この新超伝導体は、第3の電子注入型超伝導体であり、かつ、典型的なホール注入型超伝導体であるLa2-xSrxCuO4と同じ結晶構造を有します。そのため、両者の物性を比較することは、高温超伝導発現のメカニズムの解明に有力な情報を与えると期待されます。

読売新聞:H16年11月23日