電子レンジによる高温超伝導体の合成

1.　背景

　1988年、Baghurst らは、酸化物高温超伝導体の原料の一つであるCuOが家庭用電子レンジのマイクロ波（周波数2.45GHｚ）を吸収することを発見し、酸化物高温超伝導体の合成に応用した。[1]　しかしながら、試料からの放熱のため均質試料は得られず、マイクロ波照射後に電気炉を使った焼成が不可欠であった。そこで、我々は試料を、試料と同じ組成の粉末で覆い、さらにグラスウールで覆うことにより放熱を抑え、数十分の電子レンジのマイクロ波照射のみで酸化物高温超伝導体Y123、Bi-2201、Bi-2212の合成に成功した。[2-6]

　

2. 高温超伝導体YBa2Cu3Oxの合成

　　

　　　

　

2. 高温超伝導体(Bi,Pb)2Sr2CaCu2Oxの合成

　　

　　

参考文献

[1] D.R. Gaghurst, et al.: Nature 332 (1988) 311.
[2] M. Kato, K. Sakakibara and Y. Koike: Jpn. J. Appl. Phys. 36 (1997) L1291.
[3] M. Kato, K. Sakakibara and Y. Koike: Appl. Supercond. 5 (1997) 33.
[4] M. Kato, K. Sakakibara and Y. Koike: Jpn. J. Appl. Phys. 38 (1999) 5867.
[5] 加藤雅恒，榊原健二，小池洋二：固体物理 33（1998） 923.
[6] 加藤雅恒，榊原健二，小池洋二：表面科学 20 (1999) 737.