東日本大震災5周年を迎えて: 報告と御礼

  2011年3月11日、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた未曾有の大震災から5年が経過しました。当時、小池研は電子情報システム・応物系1号館の8階にありましたが、8階と6階の実験室に備えつけられていた実験装置は、地震対策を施していたにもかかわらず、想定を超える大きな揺れにより、ほとんどが壊れてしまいました。建物の梁にも大きな亀裂が入ってしまい、1号館の建物自体が使用不能になりました。2基あったエレベータのうちの1基は落下してしまいましたが、地震当時エレベータには誰も乗っていなかったため、死者や重傷者が出なかったのは不幸中の幸いでした。
 その日から1ヶ月、スタッフは被災を免れた2号館の実験室にスペースを作って移り、片付けのために、昼間の数時間だけ1号館に入るという日が続きました。教職員の尽力と学生たちの協力により、5月の連休明けに、1ヶ月遅れで授業が再開されました。小池研は、工学研究科化学・バイオ系の空き室を借りて、研究室を構え、壊れた実験装置を修理して立ち上げたり、他の研究室の実験装置を借りたりして、研究を少しずつ再開していきました。そして、地震から半年後の11月、実験スペースがある程度確保されたプレハブ棟が完成し、また、修理不能の実験装置の代替品が国の予算で納入され始め、研究活動を本格的に再開することができました。それから3年後の2014年10月、旧1号館に替わる新棟が完成し、小池研はプレハブ棟から真新しい新棟に引越し、気持ちを新たに研究・教育活動に勤しんでいます。(写真をご覧ください)これも、偏に皆様から頂いた温かい励ましのお言葉とご支援の賜物であると、心から御礼申し上げます。
 しかしながら、東北の沿岸部では、現在もまだ多くの人がプレハブ住宅に住んでいます。福島原発事故のために避難生活を余儀なくされている人もたくさんいます。また、4月中旬から頻発している熊本地方の大地震では、再び多くの犠牲者と避難生活者が出ています。このような状況の中で、我々だけの復興を手放しに喜んでいるわけにはいきませんが、現在もなお不自由な生活をされている皆さんの一日も早い復興を心から願いつつ、震災5周年を迎えての報告とさせていただきます。

2016年5月           小池洋二