ナノ構造を作製する方法は、大きく二種類に分けられており、それぞれ『トップダウン方式』、『ボトムアップ方式』と呼ばれています。以下で、簡単にそれぞれの方式について説明します。

トップダウン方式

 トップダウンは、元々大きな素材を微細に加工していく方式です。トップダウン方式に必要な技術として、リソグラフィー(感光性の物質を部分的に露光することで、所望のパターンを生成する技術)、エッチング(液体による化学反応や、イオン照射によって試料を形状加工する(削る)技術)などがあります。安藤研究室では、電子線を用いたリソグラフィー技術とArイオンで試料を削るエッチング技術で、100ナノメーター以下の非常に小さいサイズの試料作製が可能です。以下に、安藤研究室で作製した100ナノメートル級サイズの素子パターンと30ナノメートルの細線で作製した微小なトランジスタの写真を示します。

top-down technique



ボトムアップ方式

 ボトムアップは、トップダウンとは逆に、原子や分子を積み上げることで、所望の構造を作製する方式です。ボトムアップ方式には、原子間力顕微鏡などのチップを利用して構造を組み上げていく方法と、自己組織化と呼ばれる、他からの制御なしに原子や分子自身で組織や構造をつくり出す方法があります。以下に、安藤研究室でボトムアップ方式で作製した試料の例を写真で示します。一つは、最新の薄膜作製技術を活用して作製した、単結晶の多層薄膜構造、もう一つは、FIBという装置で作製したカーボンのナノピラーです。

bottom-up technique