次世代のハードディスク用ヘッドとして、面直通電型巨大磁気抵抗 (CPP-GMR) 素子への期待が高まっています。CPP-GMR素子は、強磁性薄膜/非磁性金属薄膜/強磁性薄膜の積層構造をもっていますが、素子の膜面直方向に電流を流すことが特徴です(下図)。素子の横方向に電流を流す、従来のGMR素子に比べて磁気抵抗効果が原理的に大きくなり、また、すべての層が金属膜なので、素子の抵抗を小さくすることに対して大きなアドバンテージを有しています。
しかし、これまでのCPP-GMR素子は、素子抵抗値を小さくできる反面、トンネル磁気抵抗素子に比べて磁気抵抗効果が小さく、また、次世代ヘッドに要求される値にも到達していませんでした。従って、CPP-GMR素子における高磁気抵抗化のための、新しい技術(イノベーション)が必要であると考えられていました。
