

ここ数年、学生の就職活動の時期が早まる傾向があり、M1 の秋から就活に専念している極端な例もあります。一方で、企業の採用活動も早まっていることから、従来のように2
月末に就職ガイダンスをしていたのでは対応が遅くなってきています。そこで本年度はこれまでよりひと月スケジュールを早めて、1 月中に就職ガイダンス、2
月末を目処に推薦候補者を決めることにいたしました。これにより就活時期の実質上の短縮化と内々定率の向上を期待していたわけでしたが、ご存じのとおり、3
月11日に東日本大震災が発生し、全ての予定が違ってきてしまいました。経団連の働きかけもあり、表向きは東北地区の採用活動は6 月からスタートすることになりましたが、実際に6
月まで待って面接を始める企業は限られており、従来通り4 月から面接を始める、あるいは、表向きは6 月から面接開始であるが4 月からも採用を始めていたため希望の業種の枠は既にうまってきている、など企業ごとに対応がまちまちになりました。就職担当としては非常にやりづらい状況ではありましたが、学生にとっては、上手に活動すれば実質上活動期間が長くなった分、複数の企業を受けるチャンスができたため悪いことではなかったように感じています。
今年度の求人数は約140 社で、ここ数年減少する傾向にありますが、相変わらず業種は電気、機械、金属、情報、材料、化学、などほぼ工学部全体を網羅するようなバラエティに富んだ内容となっております。これも偏に応用物理出身の先輩がたが社会で実際に活躍され、高く評価されてきているからに他なりません。このように非常に恵まれた就活環境でありますが、とりあえずは自由に複数の企業を見ることができる自由応募で活動する学生が少なからずおりました。しかし、自由応募は競争率が高く、理不尽に中途半端な状態で次のステップまで待たされるなど、実際に内々定までこぎ着ける例は非常に少なく、最後は学校推薦に頼るケースが多く見受けられます。確かに、最近は学校推薦があまり強くなくなってきており、落とされるケースもあるのは事実です。しかし、理由を聞いてみると、筆記の点数が悪い、SPI
が低い、自分の研究を論理的に説明することができない、声が小さい、など事前にちょっと対策しておけば問題とならないケースがほとんどです。ともあれ、ほとんどの学生は第2
志望までの企業に就職できているようで、とりあえずホッとしているとともに、学生達が会社を受けるのに際してきめ細かく指導してくださる各企業の応用物理出身の先輩方に、心より感謝いたしたいと思います。
最後に、博士課程への進学者は本年度9 名おりました。最初から進学を希望する者から、就職活動していくなかで進学を意識するようになった者まで、その動機はさまざまです。しかし、学問の楽しさをまだ充分に理解できないうちに就職活動を強いられる今の学生達をみていると、送り出す側の立場として非常に胸が痛むことが多々あります。少しでもそれぞれの学生の希望が叶うように努力することを心がけております。