トンネル磁気抵抗素子は、磁界センサーとしても応用可能です。下図に磁界に対する、素子の電圧値の変化を示します。下図のように、磁界に対して素子の電圧が直線的に変化するように、フリー層とピン層の磁化の向きが直交するように、素子に工夫を施します。直線的な磁界vs出力電圧特性が得られた場合、素子の電圧値と磁界の関係があらかじめ分かっていることになりますので、電圧値を読み出すことによって、その時に素子に印加されている磁界の大きさが分かるというわけです。
磁界センサーの性能は、磁界vs出力電圧特性の直線の傾きになります。この傾きが大きければ、わずかな磁界 (ΔH) でも大きな出力電圧変化 (ΔV)
が取り出せます。直線の傾きは、トンネル磁気抵抗比 (TMR比) を磁化が飽和する磁界 (異方性磁界 Hk) の2倍で割った値になります。従って、高感度な磁界センサーを作製するためには、TMR比を大きくすることは勿論のこと、磁化が磁場に対して高感度に反応する、軟磁性
(ソフト磁性) 強磁性体材料を開発することが重要になります。
