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JST戦略的イノベーション創出推進プログラム 「スピン流を用いた新機能デバイス実現に向けた技術開発」

トンネル磁気抵抗素子を用いた心磁図および脳磁図と核磁気共鳴像の室温同時測定装置の開発

プロジェクト概要OVERVIEW

プロジェクト概要

 本プロジェクトでは、生体からの微小磁場検出装置の開発を行います。従来のSQUIDによる生体磁気計測では、液体ヘリウム容器が障害となりセンサーを生体に密着できませんでした。本研究では、室温で動作する多数のトンネル磁気抵抗素子を鎧帷子状に配置し、胸・頭部の皮膚に密着させて心磁図・脳磁図を得ることができる装置を開発します。これにより、近接計測による空間分解能を格段に向上できるため、安価で実用的な医療機器として飛躍的普及が期待できます。


プロジェクトマネージャー メッセージ

CEO

 磁気センサーの市場は数兆億円の規模で非常に大きく、今後ますます発展していく研究領域であります。これにもかかわらず、センサーに使われている技術は昔からのホール素子であるか、あるいは非常に高価であるが高感度であるSQUIDに頼っており、安価でかつ高感度、さらにはコンパクト、低消費電力などの特徴をいれると、これらを満たしている素子はないのが実情でありました。強磁性トンネル磁気抵抗(TMR)効果あるいは巨大磁気抵抗(GMR)効果センサーはこの全ての要求を満たす可能性を有している素子であり、近年GMRおよびTMRのセンサー応用を本格的に検討し始めている企業も少なくなくなってきています。
 本プロジェクトは、磁気センサーの中でも最も高感度の磁界感度が必要で、かつ安価であることが強く望まれている、生体磁場検出の機器である脳磁計、心磁計の開発を目指しています。これまでは心電図や脳波などの生体電圧計測が、非侵襲的な機能検査として広く用いられていました。しかし、胸部や頭部を構成する組織の導電率が不均一であるため、体表面の電位分布から生体内部の信号源を推定するための空間的精度は低いという問題があります。一方、心磁図や脳磁図における生体電気活動の位置推定精度は、心電図・脳波に比べると理論的にはきわめて高いことが期待されます。本計画で開発する装置は、室温で作動する多数のTMR素子センサーを用いています。この磁気抵抗素子を鎧帷子状に配置し、胸・頭部の皮膚に密着させて心磁図・脳磁図を計測することが可能となり、安価で実用的な医療機器として飛躍的普及が期待できます。
 今後、日本のみならず世界中で社会の高齢化が進むことは明らかであり、心臓、脳の病気が原因で亡くなる例も決して少なくありません。しかしながら現状では心臓、脳の精密検査には高額な診察料が必要であり、検査ができる施設も限られています。本プロジェクトの技術が礎となり、誰でもが気軽に自分の心臓、脳を日頃からチェックできる環境が整うことにより、「安心、安全な社会」の確立の一助になることを期待しています。

プロジェクトマネージャー  安藤 康夫

バナ

東北大学応用物理学専攻 安藤研究室

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