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東北大学応用物理学専攻安藤研究室

研究内容RESEARCH TOPICS

トンネル磁気抵抗素子の磁界センサー応用

 トンネル磁気抵抗素子は、磁界センサーとしても応用可能です。下図に磁界に対する、素子の電圧値の変化を示します。下図のように、磁界に対して素子の電圧が直線的に変化するように、フリー層とピン層の磁化の向きが直交するように、素子に工夫を施します。直線的な磁界vs出力電圧特性が得られた場合、素子の電圧値と磁界の関係があらかじめ分かっていることになりますので、電圧値を読み出すことによって、その時に素子に印加されている磁界の大きさが分かるというわけです。

 磁界センサーの性能は、磁界vs出力電圧特性の直線の傾きになります。この傾きが大きければ、わずかな磁界 (ΔH) でも大きな出力電圧変化 (ΔV) が取り出せます。直線の傾きは、トンネル磁気抵抗比 (TMR比) を磁化が飽和する磁界 (異方性磁界 Hk) の2倍で割った値になります。従って、高感度な磁界センサーを作製するためには、TMR比を大きくすることは勿論のこと、磁化が磁場に対して高感度に反応する、軟磁性 (ソフト磁性) 強磁性体材料を開発することが重要になります。


生体磁界検出応用に向けて

 脳や心臓からでる生体磁界の大きさは、0.1〜1ピコテスラ (ピコは10のマイナス12乗) と非常に微弱です。ちなみに、地磁気はの1〜10マイクロテスラ程度ですから、生体磁界の大きさは、その1/1000000以下ということになります。現在、そのような微小な磁界を検出できる素子は、超伝導量子干渉計 (SQUID) のみです。しかし、SQUIDは超伝導を用いているために、極低温まで冷却して使用する必要があり、大がかりな装置で莫大なコストがかかります。

 一方で、トンネル磁気抵抗素子を用いた磁界センサーは、小型で低コスト、また低消費電力という特長を有しています。しかし、従来の素子では、感度が低いために、素子単体では1マイクロテスラ程度の磁界しか検出することができませんでした。

 そこで、安藤研究室では、素子の高感度化のための研究開発を進めています。生体磁界検出のためには、TMR比/2Hkの感度の値が100%/Oe以上必要なのですが、現在までに25%/Oeまで感度を高めることに成功しています。 従来素子は、数%/Oe程度の感度でしたので、10倍程度の性能向上です。また、高感度化とともに低ノイズ化も必要なのですが、素子をアレイ状に集積化することで、ノイズを低減できる見通しが得られています。

東北大学大学院応用物理学専攻
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