アレイ状集積トンネル磁気抵抗センサーを用いて、300ピコテスラの磁界検出に成功
安藤研究室とコニカミノルタテクノロジーは共同で、トンネル磁気抵抗センサーを試作し、300ピコテスラの微小磁界検出に成功しました。研究成果を第59回応用物理学会学術講演会にて発表しました。
トンネル磁気抵抗素子は、HDDヘッドや地磁気センサーなどに応用がなされていますが、さらに磁界感度を高めることができれば、脳磁界や心磁界のような微小な生体磁界が検出可能になると期待されています。
今回、安藤研究室では、トンネル磁気抵抗素子単体で25%/Oeの磁界検出感度 (= TMR/2Hk, Hk:異方性磁界) を達成することに成功しました (K. Fujiwara et al., J. Appl. Phys., 111, 07C710 (2012)) 。この値は、素子単体では世界最高の値であり、また、従来より約10倍、性能向上したことになります。また、この素子を直並列にアレイ化することで、低周波領域のノイズを低減できることを明らかにしました。
これらの成果をもとに、コニカミノルタテクノロジー社と共同で、100×100個のアレイ状集積トンネル磁気抵抗センサーを試作しました。現在までのところ、素子の歩留まりや、素子間のバラつきがそれほど良好でないものの、300ピコテスラの微小磁界を検出することに成功しました(下図)。今後、素子の歩留まり、バラつき改善により、目標とする生体磁界検出の実現が期待できます。
本研究は、JSTイノベーション創出推進プログラム「トンネル磁気抵抗素子を用いた心磁図および脳磁図と核磁気共鳴像の室温同時測定装置の開発」により行われました。高感度磁界センサーの詳細については、こちらのページで紹介しています。