高磁気異方性と低磁気緩和を兼備する、MnAl垂直磁化膜の作製に成功
安藤研究室では、数十ナノメートルクラスの超微小トンネル磁気抵抗素子に応用可能な、新規MnAl垂直磁性薄膜の開発に成功しました。
微小な磁気抵抗素子を用いた不揮発性磁気メモリや、不揮発性論理集積回路の実現のためには、高い熱安定性指数を得るための高磁気異方性、および、低消費電力でスイッチング動作を実現するための低磁気緩和定数を兼備する磁性材料の開発が必要不可欠です。安藤研究室では、40nm 以降の極微細素子の実現に向け、Mn系新規垂直磁性材料の開発に取り組んでいます。
今回、L10型のMnAl合金に着目し、スパッタ法によりエピタキシャル膜の作製を行なったところ、1×107 erg/cc程度の非常に高い磁気異方性 (Ku) を有する、垂直磁化膜が得られました。さらに、磁化の運動に対する摩擦係数である、磁気緩和定数 (α) を測定したところ、0.006という高磁気異方性材料の中では非常に小さいダンピング定数を得ることに成功しました。これらの特性は、MnAlが20nm以下の極微細デバイスに応用可能であることを示しています (M. Hosoda, et al., J. Appl. Phys., 111, 07A324 (2012))。
本研究は、最先端研究開発支援プログラム「省エネルギー・スピントロニクス論理集積回路の研究開発」により行われました。スピン注入型トンネル素子の詳細については、こちらのページで紹介しています。