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東北大学応用物理学専攻安藤研究室

研究トピックRESEARCH TOPIC

スピン波伝搬素子実現に向けた低磁気緩和ホイスラー合金の開発


ハーフメタルホイスラー合金において、スピン波の長距離伝搬の観測に成功


 安藤研究室とカイザースラウテルン大学ヒルブラント研究室は、共同でハーフメタルホイスラー合金Co2FeMnSiにおいて、16.7マイクロメートルという、金属では非常に長いスピン波伝搬の観測に成功しました。

 電気の代わりに、スピン波 (下図) を情報の伝達、処理手段として利用する、スピン波素子が新しいスピンエレクトロニクス素子として注目されています。その実現のためには、スピン波を長距離伝搬させる必要がありますが、一般的な強磁性金属ではその伝搬距離を長くすることが困難でした。安藤研究室とヒルブラント研究室は、スピン波の緩和時間が長いと考えられる (磁気緩和が小さい) ハーフメタルホイスラー合金に着目し、スピン波の長距離伝搬の可能性を検討してきました。

 今回、安藤研究室において、非常に磁気緩和の小さいホイスラー合金Co2FeMnSi薄膜を作製し、ヒルブラント研究室においてブリルアン光散乱測定を用いてスピン波伝搬の測定を行いました。その結果、16.7マイクロメートルという非常に長いスピン波伝搬を観測しました (従来、NiFe合金では < 6マイクロメートルでした)。今後、さらに共同研究を進めていくことで、さらにスピン波を長距離伝搬させることが可能になり、スピン波素子の実現が期待されます。 (T. Sebastian et al., Appl. Phys. Lett., 100, 112402 (2012))。

 本研究は、JST戦略的国際科学技術協力事業「先端スピントロニクス材料と伝導現象(ASPIMATT)」により行われました。ホイスラー合金の詳細については、こちらのページで紹介しています。

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